切手を貼ればどんな文書にも消印をもらえる?!
郵便局で販売されている切手。
みなさんにもとてもなじみ深いと思います。
では、切手はどういう時に貼りますか??
ほとんどの場合、
はがきやお手紙を出す際の送料
という認識で切手を貼っているのではないかと思います。
もちろん、その通りです。
ただし、別の利用目的もあります。
それが、「記念押印」の場合です。
郵便局のホームページにはこんな記載があります。
『郵趣のための押印サービス
押印には、台紙等に切手をちょう付して押印する「記念押印」と、実際に差し出される郵便物に切手をちょう付して押印する「引受消印」があります。』
後ろの「引受消印」がみなさんにとってなじみ深い方です。
そして、前の「記念押印」はそれほどなじみ深くはありませんが、
郵便局の郵便の窓口で、
「記念押印をお願いします。」といえば、たとえ封筒にいれた書類ではなくても、消印(記念押印)をもらえます。
ただし、当然、消印をもらうと、切手自体は次は使えなくなってしまいます。
「記念押印」に何の意味があるのか?
郵便局では、時期ごとなどに記念切手など、特殊な切手が販売されています。
切手の柄によっては入手困難なものもたくさんあるようです。
こんな特殊な記念切手を購入し、自分でコレクションにする場合などに、「記念」に消印まで押してもらうそうです。
また、「消印」のスタンプ自体がたとえば有名キャラクターとなっている場合もあるようです。
結局、「記念押印」の意味は、文字通り
記念
ということになりそうです。
弁護士の立場から記念押印の魅力
前置きが長くなりましたが、
そんな記念押印も、弁護士としてはすごく使える制度だと思うんです。
公証人による「確定日付」というものをご存知ですか?
確定日付とは、「変更のできない確定した日付」のことです。
公証役場に行けば、手数料を払うことによって、公証役場が
その押印の日(平成●年●月●日)
というスタンプを押してくれます。
公証役場は、「公証」という名前からしてわかるように、ウソをつくような機関ではありません。公証役場のそのスタンプが押してあることによって、、
少なくともその日の時点において、その文書が存在していた
ということが証明されるのです。
この確定日付は、法律的には、債権譲渡の際の第三者対抗要件としての意味や、証明力の高さなど、かなり弁護士としては有効かつ意味のあるものです。
ただし、欠点が・・・・
@公証役場に行かなければ押してもらえない。
近ければいいけれども、遠ければ利用しづらい。
A公証役場が空いている時間が長くはない(原則平日の9時から17時まで)
休日に、確定日付をもらいたくても難しい!
弁護士は、常に裁判で使う「証拠」を意識して動くので、
場合によっては、土日や営業時間外にもどうしても
「その日にその文書が存在していた!」
ということを証明するための証拠を保存しておきたいことがあるのです。
例えば、本当は平成28年9月27日に作った契約書なのに、裁判の相手方などから 、
「いやいやそれは本当は平成●年9月28日に作った契約書だ!
日付をさかのぼらせた改ざんよるものだ! 」
などと主張されてしまう場合も残念ながらあります。
こんな主張を相手がしてくることが予想されそうな時、平成●年9月27日に確定日付を得ていると万全です。
平成●年9月27日にはその契約書が存在したことが証明できますから。
裁判、特に刑事事件においては、平成●年9月27日にある人がその言葉を供述した!ということがとても重要になる場合もあります。
そんなときも、平成●年9月27日に確定日付があると安心です。
では、その平成●年9月27日が休日だったらどうしましょう?!
→公証役場が空いていないので、「確定日付」がもらえません。
こんなときに、代替的に利用できるのが、「記念切手」だと思うんです
もちろん、公証役場の確定日付よりは証明力は若干下がってしまうかもしれませんが。
通常、郵便局の職員が違う日付で消印をすることは考えられませんので、十分な証明力があると思います。
また、郵便局の中には24時間空いている場所もあるので、いつでも記念押印は取得できるという点で便利です。
あまり記念切手のこのような使い方は普及してないようですが、
十分証明力を有する、有効な方法だと思います。
(若干、荒業のような気もしますが、何もないよりいいのではないでしょうか。)
※ただし、窓口の職員さんたち全員が記念押印はどんな文書にもできる、ということを認識できているわけではないようなので、おそらくがちがちの契約書などを持って行って、ここに記念押印してください!と言っても、職員さんをアタフタさせてしまうようです。
事前にその郵便局に電話確認しておくのがいいと思います。